選手とツアー

大会を減らしたジョコビッチ。それでも終盤戦が苦しいのはなぜか

終盤まで勝ち上がれる実力があること。そこに着いたとき、まだ力が残っていること。二つは別の話だ。

2024年パリ五輪で撮影されたノバク・ジョコビッチ
シングルスで金メダルを獲得した2024年パリ五輪でのジョコビッチ。資料写真。本稿で扱う報道は2026年8月と9月に発表されたもの。Andymiah · CC BY-SA 4.0 · WebP

シーズンの負担が大きいなら、出る大会を減らせばいい。一見、あまりに当たり前の助言だ。ノバク・ジョコビッチはすでにそうしている。だからこそ、その先の問いが面白い。大会数を減らせば解決することは何か。そして、長い大会が始まってからも保証できないことは何か。

ジョコビッチのドキュメンタリーを紹介したBBC Sportの2026年8月20日付記事には、二つの事実が並んでいた。近年はスケジュールを絞り、グランドスラム以外の大会にはあまり出ていない。それでも、同日時点で直近7大会のグランドスラムのうち6大会でベスト4以上に進んでいた。同じ記事は、2025年ウィンブルドンでヤニック・シナーに敗れたあと、大会終盤を「タンクが半分空の状態」で戦っていると語った言葉も振り返っている。

二つを一緒に読むと、簡単に引退を勧めることも、何も問題はないと片づけることもできない。成績が示すのは、今なお何度もドローの最も厳しい段階まで進む選手だ。一方、本人の言葉が伝えるのは、そこで戦う感覚である。勝ち上がったから負担の訴えが間違いになるわけではないし、負担があったから、その成績に必要だった実力が消えるわけでもない。

カレンダーには空白の週がある。ドローには次のラウンドがある

大会を選べば、会場へ移動し、新たな競争を始める回数は変わる。しかし、選んだ大会で優勝するために必要なラウンド数は変わらない。序盤の相手が短時間で負けてくれる保証もない。初戦が順調な勝利になることもあれば、長く難しい試合になることもある。どちらでも、その先のラウンドは日程に残っている。

大会初日に向けた準備と、終盤に使える余力はつながっているが、置き換えられるものではない。本稿が考えたいのはこの違いだ。これは日程の問題に対する見方であり、ジョコビッチの体力を診断する話ではない。二つの記事には彼の練習負荷、回復の測定値、別のスケジュールを組んだ場合との比較はない。もう一大会出ていたらよかったのか、負担が増えたのか、それとも変わらなかったのかは判断できない。

出場を絞る方針を評価するときには、別の難しさもある。セットを締めるサービスゲーム、不利なスコアでのリターン、得意なパターンを使わせてくれない相手への対応。実戦は、練習だけではまったく同じ形に再現できない情報をくれる。一方、大会を増やせば、こなす試合も増える。その折り合いをつけるのは選手とチームだ。カレンダーの空白を見つけただけで、外部の人間に正解が分かるわけではない。

2024年パリ五輪シングルス決勝でクレーコートを動くジョコビッチ
2024年8月4日、カルロス・アルカラスとの五輪決勝を戦うジョコビッチ。資料写真。その大会での成功は当時の達成を示すが、その後のあらゆる大会に向けた余力まで測定してくれるわけではない。Like tears in rain · CC BY-SA 4.0 · WebP

北京30連勝は、そのシーズンの30連勝ではなかった

その後の報道にも、テニスの話を短くまとめすぎる危うさが表れていた。BBC Sportは2026年9月30日、チャイナオープンでジョコビッチがヌノ・ボルジェスを6-3、7-6(2)で下したと伝えた。同大会では30連勝。ただし、北京への出場自体が2015年以来だった。何年も離れた出場をつなぐ連勝記録であり、2026年シーズンに30試合続けて勝った証拠ではない。

試合時間は1時間50分。報道では第2セットの苦戦と、メディカルタイムアウトで右肩の処置を受けたことが紹介された。8月に本人が公に話した、以前から抱える健康上の問題にも触れている。これだけで具体的な病名を決めたり、用具に原因を求めたり、別の出場日程を処方したりすることはできない。ただ「復帰して勝った」だけでは、その日の出来事を十分に語れないことは分かる。

逆に、目に見えた苦しさだけで、現役を続けた判断が間違いだったと決める権利も観客にはない。分かっているのは報じられた結果と処置の事実であり、選択の背景にあった医学的評価ではない。スポーツの議論は、手元の情報が途切れた場所でかえって断言が強くなることがある。

続けたい気持ちに、決まった期限はない

8月のドキュメンタリー報道で、ジョコビッチは今も勝てることを自分自身に示したいと話し、世界のトップ選手の一人でいられると感じる限り続けたいという意向を示していた。引退日を確定したわけではない。2028年ロサンゼルス五輪に出たいという希望も、目標であって、決まった予定や2年後の状態についての約束ではなかった。

同じ記事には、絶えず自分を疑い、もっとよくなりたいと望む本人の言葉もある。それを「もっと自分を疑えば、もっと勝てる」という万人向けの教訓に変えてしまうのは乱暴だ。心理的な診断として扱うべきものでもない。ここで大切なのは、競技を続ける理由と、競技に必要な余力を分けて話せるという点である。戦いたい気持ちは本物でも、それだけで負荷の問題に答えが出るわけではない。

この区別は、経験を積んだ一般プレーヤーにも役立つ。競争が楽しいこと、素晴らしい1セットをプレーできること、試合の詰まった週末の大会を戦う準備があることは、三つの異なる観察だ。最初の二つには自信を持ってうなずけても、三つ目には迷いがあるかもしれない。その不確かさを認める方が、「まだ通用するか」を言い争うより次の判断につながる。

いい試合の、その次を予定に入れる

週末にシングルスとダブルスの両方へ申し込んだクラブプレーヤーを想像してほしい。シングルスの初戦は好調で、打球感もよく、サーブも崩れなかった。すると、日程の選択も正しかったと思いたくなる。しかし判断の対象は出場全体だ。最大で何試合になるのか、どのような間隔で組まれるのか、自分は以前どこまで無理なくこなせたのか。この例は理解のための仮定であり、ジョコビッチの準備について述べたものではない。

申し込む前には、気持ちを奮い立たせる動画より、大会方式と予定表が役に立つこともある。同じ日に複数試合が入るか、単複の日程が重なり得るか、主催者が休憩時間について何を案内しているかを確認する。別の大会で経験した進行方式が、今回も同じだと思い込まない。予定が暫定なら、その不確かさも含めて決める。

プレー後の短い記録は、出来のよさと、それをもう一度出せるかどうかを分ける助けになる。実際の試合時間、次の試合が始まった時刻、実行しづらくなったプレー、終わったあとの感覚を残す。「初戦は勝った」と「次を普段どおりに準備するのが難しかった」は両立する。この記録は次の日程を相談するための材料であり、疲労の点数や医学的評価ではない。

同じ問題が続いても、次の判断がテニス人生全体への判決である必要はない。単複の一方だけにする、別の進行方式の大会を選ぶ、資格や専門性のあるコーチと準備を話し合う、といった選択かもしれない。痛みや健康上の症状には、より厳しい大会計画ではなく、適切な専門家への相談が必要だ。チャンピオンのチームや情報を持たずにカレンダーだけをまねるより、自分で評価できる負担を選びたい。

ジョコビッチの話が心に残るのは、二つの面がどちらも見えるからだ。終盤まで連れていく卓越した実力と、そこへ着くための代償を語る本人の声。欠場した大会を数えるだけでは、片方しか見えない。競技のシーズンを組み立てる人にとって、最初のコイントスをどれだけ元気に迎えられるかだけが問いではない。最も楽しかった一戦を終えた、その次の試合にどんなテニスを持っていけるかまで考えておきたい。

出典と参考資料

  1. BBC Sport — Novak Djokovic documentary: Tennis great on being my own biggest doubter and childhood that shaped his career
  2. BBC Sport — China Open: Novak Djokovic wins first match since Wimbledon

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