ラケットと用具

どちらも305g。それなのに、片方だけ振り遅れるのはなぜ?

はかりが示すのは、持ち上げる物の量だ。スイングでは、その物を軸の周りに動かす必要もある。何グラムあるかと同じくらい、どこにあるかが重要になる。

コートに置かれたテニスラケットと2個のボール
2007年6月にアップロードされた、ラケットとボールの過去の写真。以下の305gの比較は説明用の例であり、この写真から仕様を測定したものではない。Vladsinger at English Wikipedia · CC BY-SA 3.0 · WebP

購入候補を305gで絞ると、一覧はすっきりする。ところが試打を始めると、片方は小さなリターンの動作でも楽に振り抜けるのに、もう片方は早めの始動を求めてくるように感じる。その一方、ベースラインから十分に振ると、後者のほうが頼もしいかもしれない。腕の調子が一定しないと責めたり、どちらかの仕様表が間違っていると決めたりする前に、別の欄を開こう。スイングウェイトだ。

ここでの305gは仮想の表示値であり、特定製品同士の比較ではない。ラケットの一面を知るには役立っても、知りたい動きまで説明する数字ではないことがある。質量は物質の量、バランスは重心の位置を示す。スイングウェイトは、指定された軸を中心に回転させることへの抵抗を示す。最初の一つだけを読むのは、道の曲がり方を無視して、距離だけで二つのルートを比べるようなものだ。

三つの測定値は、三つの違う問いに答える

Tennis Warehouse Universityの重量・バランス・スイングウェイトの解説は、選手がしばしば「重い」の一語にまとめる感覚を分けている。バランスポイントで持ち上げると、全体の質量を比較的直接感じられる。ハンドルを持って水平に支えると、てこの作用が加わる。回転を始めたり変えたりするときには、また別の問題になる。静止させて持った感覚と、回そうとした感覚が違うラケットはあり得る。

バランスポイントは、細い支えに載せたラケットが水平に釣り合う位置だ。同じ長さのフレームなら、その位置がハンドル側に動くほどトップライトになる。質量が等しければ、ハンドルを持って水平に保つのに必要なトルクは小さくなる。しかし、それだけではバランスポイントの両側に素材がどう分布しているかまでは分からない。重心が同じ2本でも、両端近くに置かれた質量は違う場合がある。

スイングウェイトは、特定の回転について、その不足した情報を捉える。各部分の質量が及ぼす影響には、軸からの距離の2乗が関わる。軸から遠い場所の素材ほど、大きく寄与する。したがって、質量が同じで、バランスまで同じでも、スイングウェイトが等しいとは限らない。これらの測定値は補い合うものであり、バランスから質量分布全体を簡単に計算できるわけではない。

同じ5gを追加した場合の例。グリップエンドから10cmの一般的な測定軸を基準に計算し、追加質量は示した位置に集中しているものとする。
グリップエンドからの装着位置測定軸からの距離スイングウェイトの増加
20cm10cm0.005 × 10² = 0.5 kg·cm²
60cm50cm0.005 × 50² = 12.5 kg·cm²

後者では、追加する質量がまったく同じでも、その軸について増える慣性モーメントは25倍になる。比べているのは増分であり、完成したラケットが25倍振りにくくなるという意味ではない。元からあるスイングウェイトも、総量の一部として残る。TWUのカスタマイズ研究で扱われている追加質量の関係を用いたこの計算は、「何グラム足すか」だけを聞くと、多くの調整で最も影響の大きい部分が抜け落ちる理由を説明している。

一般的な測定軸はグリップエンドから10cmの位置にある。しかし、ストローク全体がそこに固定された蝶番の周りを回るわけではない。腕の各部とラケットが一緒に動き、動作中には関係する軸も変わる。標準化された測定は、ラケット間を一貫した基準で比較するためのものだ。公表値を比べるなら軸と単位をそろえ、見慣れた一つの数字を自分のサーブ全体のシミュレーションのように扱わないようにしたい。

大きな抵抗は、打つ前には負担、衝突時には助けになり得る

回転への抵抗は両方向に働く。選手はラケットを加速するために力を加え、飛んできたボールも力を加えてラケットの運動を変える。動かし始める自分の力に抵抗するフレームは、押し戻そうとするボールの力にも抵抗し得る。この両面があるから、慌ただしい準備では手ごわく感じたラケットが、十分に準備した打球では心地よく感じられることがある。

クロフォード・リンジーによる2014年のTWUカスタマイズ実験は、二重振り子でこの問題を調べた。落下する重りが一定の入力エネルギーを与え、ラケットに相当する部分のさまざまな位置へ質量を加えた。主な装置には通常のストリングを張ったフレームではなく木製の棒を使い、効果をはっきり観察できるよう、追加質量は20〜200gとした。これは力学的な研究であり、選手が通常の小さな調整に適応する様子を試験したものではない。

その装置では、入力エネルギーを一定にすると、どの位置に質量を加えてもラケットの速度は下がった。打ち出されたボールの速度との関係は、もっと複雑だった。低いスイングウェイトの範囲では増え、ピークに達した後で下がることがあり、衝突時に得られる追加の効果は、ラケット速度の低下を際限なく補い続けるわけではなかった。選手がより多くのエネルギーを供給すれば比較の条件も変わる。だから、この結果を、次に貼る重りで速度が何キロ変わるかという正確な約束にしてはいけない。

試打への実用的な示唆は、その候補が得意に見えるショットだけで評価しないことだ。十分なラリースイングには準備時間がある。小さなリターン、急な修正を伴うボレー、遅れた守備の一球では、別の反応が必要になる。準備を短くされたときにも、増した安定感が役に立つか観察しよう。一人の選手の好調・不調な一日から、万人共通のスイングウェイト上限を宣言する必要はない。

ストリングマシンのそばに置かれたテニスラケット
2025年1月、ストリングマシンのそばのラケット。過去の写真。測定値はセッティングを記録して比較しよう。未張り上げの仕様と、そのままプレーできるラケットでは構成が違う。Valenzuela400 · CC BY-SA 4.0 · WebP

まず、二つの数字が同じ状態を表しているか確かめる

感触の違いを解釈する前に、それぞれのラケットの状態を確認する。305gはメーカー表示の未張り上げ重量なのか、販売店が測った張り上げ後の値なのか、今日自分のはかりで読んだ値なのか。グリップや付属品も同じか。ストリングはヘッド全体に素材を加え、オーバーグリップはハンドル近くに加える。どちらもはかりの数字を増やすからといって、質量、バランス、スイングウェイトへの寄与を同一視することはできない。

役立つ記録では、フレームを特定する情報と、プレーできる状態で測った質量・バランス・スイングウェイトをまとめて残す。それにストリングのモデル、ゲージ、張り上げの指定テンション、グリップ、付属品を添える。数字と一緒に単位と測定方法も残そう。ショップに測ってもらうなら、数値が現在のセッティングのその個体を指すのか、そのモデルの基準仕様なのかを確認したい。購入時に答えられる問いが違うからだ。

ストリングのテンションを記録する理由は別にある。ストリングベッドが違う2本の試打ラケットでは、打ち出し、感触、深さの反応が異なり、気付いたことをすべて質量分布のせいにしにくくなる。テンションの履歴は、セッティングのその部分を説明する助けになる。ただし、スイングウェイトを測るものではなく、音から得たテンションの値でフレームの質量分布を再構成することもできない。

2本目には、はかりの一致以上が必要だ

これは予備のラケットを買うとき、特に重要になる。1本目がうまく機能しているなら、目標は試合中に使える代替品だ。2本目に質量を追加して同じ重さを表示させるのは、その目標に向けた一段階にすぎない。変更前に両方を記録しよう。狙ったグラム数へ達しても、加えた場所が違えば、バランスや回転への反応は違ったままになり得る。

最初のコート比較では、片方を元気なときだけ、もう片方を疲れてから使うのではなく、短い区切りで交互に試す。ベースラインの打ち合いに加え、リターンとサーブも含める。フェースを準備する、予定した打点を保つ、重いボールに負けない、深さを調整するなど、どの課題が変わったかを具体的に記録する。「重く感じる」の中には、異なる調整につながる複数の観察が隠れている。

三つの測定値をそろえても、設計が異なる2本が同じラケットになるわけではない。長さ、形状、ストリングパターン、構造の振る舞いも引き続き重要だ。ここで取り除きたいのは、選択を誤らせる一つの思い込みであり、もう一つ数字を加えればすべて分かるという主張へ置き換えることではない。測定値で候補を理解し、実際に必要な状況で、セッティング全体を判断しよう。

次に候補のすべてに305gと並んでいても、そこで検討を閉じないでほしい。測定時の状態、バランス、スイングウェイトを加えてから、どれも同じように扱えるはずだと判断する。はかりは自分の問いに正確に答えている。ただ、あなたはそれだけでは答えられない、もう一つの問いも尋ねていたのだ。

出典と参考資料

  1. Tennis Warehouse University — Tennis Racquet Weight, Balance, and Swingweight
  2. Tennis Warehouse University — Effect of Racquet Customization on Swing Speed and Ball Speed

TENNIS TENSION LAB

今日、ラケットのテンションを確認しよう。

10秒以内にストリングのテンションを高精度で測定。Tension Labが初回測定からの変化を記録し、張り替え時をわかりやすく示します。

  • ストリングのテンションを高精度で測定。 10秒以内に完了。
  • 打球感の変化を クリアな記録に。
  • 張り替えどき、 もう感覚だけに頼らない。
測定値は初期テンションからの変化を推定するもので、ストリングマシンによる絶対測定の代わりにはなりません。