そのトスは打たなくてもいい。それでも無理に打ち続けていないか
サーブには、スイングを始める前の選択がある。必要なのは見送るべきボールを見極める力であり、少し不完全なトスをすべてやり直すことではない。

30–40でファーストサーブを外した場面を想像してほしい。次のトスが流れ、早い段階で気付いたのに、そのまま打ってしまう。緊張しているように見られたくないのかもしれない。相手がすでに待っているので、止めるのは失礼だと感じるのかもしれない。ダブルフォルトになり、「セカンドサーブが崩れた」と片付ける。しかし、その説明には一つ前の判断が抜けている。すでに不安を感じていた出発点を、自分で受け入れたという判断だ。
これは仮想のポイントであり、すべてのダブルフォルトの原因を診断しているわけではない。十分に使えるトスからでも、サーブは数多く失敗する。ただ、振る前からトスがおかしいと分かっていることが頻繁にあるなら、別に練習すべき技術がある。そのトスを打たないと決めることは許されている。その許可がどこまでなのかを正確に知るほうが、「自信を持て」という曖昧な指示を重ねるより役に立つ。
境目は「打つのをやめる」と「打とうとして空振りする」
2026年版USTA『Friend at Court』に収録されたITFテニス規則の第19条は、この場面を直接扱っている。最初のケースは、サーバーがボールをトスした後、打つのをやめて捕った場合についての問いだ。これはフォルトではない。裁定では、手やラケットで捕っても、地面にバウンドさせてもよいとされている。やめたトスは、片手できれいにキャッチしなければ認められないわけではない。
同じ条文は別に、ボールを打とうとして空振りした場合をサービスフォルトと定めている。どちらもネットを越えるボールが出なくても、行為は違う。ストリングがボールに触れなかったからといって、打とうとしたサーブを、問題のないトスの見送りへ変えることはできない。区別の基準は打とうとしたかどうかであり、接触がなかったことではない。
セカンドサーブでは、この違いが特に重要になる。トスを打たないと決めて戻しても、その前のファーストサーブのフォルトは残る。次もセカンドサーブだ。新しいファーストサーブが与えられるわけではない。一方、打とうとして空振りすれば、もう一つのサービスフォルトになる。トスを見送ること、空振り、サービスレットを、同じやり直しの別名として扱ってはいけない。
また、第19条の回答は、それとは別に成立するサービス上の違反を免除しない。フットフォルトを含め、どこから、どのようにサーブするかには、引き続き第16〜18条が適用される。許されているのは、トスしたボールを打たないという選択だ。動作中に起きたあらゆる行為を免責する一般規定ではなく、短い説明だけで、もめた場面をすべて判定できるものでもない。
合法なやり直しでも、時間が新しく与えられるわけではない
次は反対方向の誤解がある。トスを捕ってよいと知ると、完璧なトスを探す時間も無制限だと思ってしまうのだ。第29条はプレーの継続を求め、一般的なポイント間の上限を25秒としている。前のポイントが終わってから、次のポイントのファーストサーブを打つまでの時間である。第20条はセカンドサーブを遅滞なく行うよう定めている。トスを捕っても新しいポイントは生まれず、新たなポイント間の時間枠も与えられない。
実際の計時方法や適用の仕方は、大会ごとの運用も重要だ。プロのショットクロックの手順を、審判のいないクラブの試合へ推測で持ち込まないこと。また、一般的な秒数を理由に、セカンドサーブ前に待ってよいと解釈しないこと。実務上の責任は単純だ。使えないトスは早めに見送り、手際よくボールを戻し、妥当なペースで再開する。何らかの状況が繰り返しプレーを止めるなら、キャッチを繰り返して解決したつもりになるのではなく、その状況自体に対処したい。
リターナーも、このやり取りの一員だ。第21条では、サーバーはリターナーの準備ができるまで待ち、リターナーはサーバーの合理的なペースに合わせることになっている。トスを戻した後、構えを解いた相手へ急いで次を打つのは、失った時間を取り返す賢いやり方ではない。長く謝ってから慌てて打つより、短く目で準備を確認するほうが有効だ。

架空の完璧さではなく、使えるトスを選ぶ
ルールは何をしてよいかを教えてくれるが、万人共通のトスの座標は与えてくれない。フラットのファーストサーブ、スライス、キックが、同じ打点の配置から始まる必要はない。他人のサービス動作の写真も、自分専用の目標ではない。ここでは、使えるトスを「遅い段階で予定外の修正をせず、意図したサーブを打てるトス」と考える。練習のための作業上の定義であり、実験室で決めた境界値ではない。
注意したい習慣は、正反対の二つある。ほとんどすべてのトスを追いかけ、ボールに動きを決められてから即興で合わせる選手。一方では、ぴったり合わないトスを全部捕ってしまい、試合では得られない確実さを探すルーティンになっている選手だ。前者には止めてよいという理解が、後者には現実的な許容範囲が必要になる。両方にただ「もっとトスを捕れ」と言っても、この違いには対応できない。
判断と結果も切り分けよう。無理な妥協を強いるトスでも、サーブが入ることはある。成功したからといって、その出発点が身に付けたい習慣になるわけではない。適切に選んだトスから、サーブをミスすることもある。ミスするたびに後付けで「悪いトスだった」とすれば、問題がリリース、判断、スイング、狙いのどこにあったのか、いつまでも分からない。
失敗の代償が小さい練習中に、判断を磨く
次は練習の提案であり、実施済みの試験の報告ではない。普段のサーブ練習から始め、毎回、どのサーブを打つつもりか決める。トスを見送ったら、使える位置を越えた、見失った、主に急かされている気がしてやめた、など理由を短く記録する。打つと決めた場合は、入ったかどうかに加え、予定した動作ができたかも残す。パートナーに記録を頼めば、メモのために毎回練習を止めずに済む。
続いて、できればリターナーを付け、セカンドサーブから始まるポイントを短いまとまりで行う。トスを見送れる権利、速やかに続ける義務、実際のサービスフォルトの結果は、そのままにする。これで、スコアがあり、待っている相手もいる状況へ判断を持ち込める。目的はキャッチを褒めることでも、回数を可能な限り減らすことでもない。スコアによって、打つと決める基準が変わる瞬間に気付くことだ。
USTAが2017年に紹介したキャシー・ウッズのプレッシャーをかけるサーブ練習は、コート上のターゲットを連続して狙う内容であり、重圧を伴うサーブ練習という広い考え方を支えている。上で提案した練習は、トスの判断に焦点を当てた別のものだ。その動画の書き起こしでも、動画が実証した成果についての主張でもない。プレッシャーの加え方には種類があり、ターゲットを連続して狙う課題と、セカンドサーブのポイントでは、切り出している問いが同じではない。
記録から具体的な傾向を探そう。ブレークポイントのときだけトスを追いかけるのか。見送るトスの大半は、ある種類のサーブの前に集中するのか。止めたことが気恥ずかしくて、次のトスを急ぐのか。こうした観察があれば、コーチと取り組む対象が具体的になる。ただし、観察だけで技術的な原因が証明されるわけではない。何回トスを捕るべきかについて、万人に妥当なノルマも存在しない。
よいサービスルーティンには、判断の余地がある。ボールがどこへ上がっても振り切るという約束ではない。ルールを理解し、自分が使える範囲を見極め、やり直すときも試合の流れを保とう。短い停止は、予定していたサーブを守るためにある。それ自体を完璧にこなさなければならない次の課題にしてはいけない。
出典と参考資料
TENNIS TENSION LAB
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