試合の戦術

ボディサーブ:狙った場所に入った後、リターンを制限できたか

ボディサーブはそのまま得点になることも、低いボレーを残すことも、落ち着いてブロックされることもある。狙いと実際のリターンを一緒に見る。

ボールとラケットを体の前に置いてサーブを準備するビーナス・ウィリアムズ
2007年7月、ニューヨーク州ママロネックで行われたワールド・チームテニス。サーブを準備するビーナス。本文で扱うウィンブルドン決勝とは別の試合。Brett Weinstein (Nrbelex) · CC BY-SA 2.5 · JPEG

ボディサーブを増やすかどうかは、エースの数よりも、どんなリターンが返るかで判断したい。相手が体との間隔を作ってブロックすれば、ポイントは続く。窮屈なリターンでも、サーバーに低いボレーを打たせることがある。サービスボックスの中央付近に入ったというだけでは、位置しか分からない。有利に始めるには、相手が打ちにくくなることと、実際の返球に備えることが必要だ。

すでにファーストサーブのコースを変えられるクラブプレーヤーには、ワイドとセンターに加えてボディを使う意味がある。ただし、三つの場面を見ると、その選択にも評価が必要だと分かる。ビーナス・ウィリアムズは2007年ウィンブルドン決勝をボディサーブで終えた。ロジャー・フェデラーは2018年に、その後の低いボレーを処理する必要があった。セリーナ・ウィリアムズは2009年の優勝を決めたポイントで、ボディサーブを返している。

場面1:ビーナスの優勝を決めたサーブは、そのまま得点になった

2007年ウィンブルドン決勝で、ビーナスはマリオン・バルトリを6–4、6–1で破った。当時のAFPの記事によれば、2本目のチャンピオンシップポイントを強烈なサーブで決めた。クレイグ・オショネシーは、Wimbledon Channelで行った分析の解説文で、最後のポイントの戦略をボディサーブと説明している。サーブで終わらせる方法は、リターナーをコーナーへ引っ張ることだけではなかった。

ボディサーブでは、単に外へ手を伸ばすより、球と体の間にスペースを作ることが求められる。手が届く位置の球でも、打点は窮屈になりうる。フォアで返すかバックで返すかの判断と、体を球から離す動きを同時に行うこともある。だからリーチの長い選手にとっても、近い球が別の難しさを生む。

この場面はすぐに得点する方法の一例であって、大事なポイントでは毎回ボディへ打つという規則ではない。相手がどうスペースを作っているかを見たい。狙いを予測し、余裕を持って体を動かし、自由に方向をつけて返すなら、同じ場所へのサーブでも結果は違う。コースの名前だけでは、その観察を代わりに済ませられない。

場面2:フェデラーには、まだ低いボレーが残っていた

次は2018年ウィンブルドン1回戦、フェデラー対ドゥシャン・ラヨビッチの一場面だ。6–1、2–0、15–15で、フェデラーはボディへサーブを打ってネットに出た。オショネシーのポイント分析では、ラヨビッチは詰まったバックハンドスライスで返したとされる。返ってきたのは低いフォアボレーを必要とする球であり、楽に決められる高い球ではなかった。

フェデラーはそのボレーをバック側のコーナーへ深く送り、ラヨビッチは難しいバックハンドのストレートパスをミスした。サーブがリターンを制限し、フェデラーが低い球に適したショットを実行した。この二つがつながっている。ボレーのコースで相手の次の返球も難しくした。最初のボレーをコートに入れることは、その後も続く攻防の一部であって、唯一の目的ではない。

ボディサーブの後には中央への短い返球を予想できるかもしれないが、優先すべきなのは実際に来る球だ。低ければ、バランスと深さで攻撃を続ける必要がある。高ければ、もっと直接的に決められる可能性がある。サーブのコースと次のショットは別々に練習しても、最後は一つのポイントとしてつなげたい。

Roger Federer vs Dusan Lajovic Highlights | Wimbledon 2018ウィンブルドン公式の2018年フェデラー対ラヨビッチ1回戦ハイライト。リターンの高さとサーバーの次のショットを追って見たい。Wimbledon · Watch on YouTube ↗Press play to load the YouTube player.

ウィンブルドン公式のフェデラー対ラヨビッチのハイライトで、その試合を振り返れる。サーバーが前に出る速さだけでなく、リターンの高さとその処理を見たい。同じ前進でも、高い決め球を得ることもあれば、難しい低いボレーになることもある。サーブと次のショットを分けて評価すると、その違いが見えてくる。

ラケットを前に構えてボレーを準備するロジャー・フェデラー
2012年6月1日、ローラン・ギャロスのフェデラー。本文で扱う2018年ウィンブルドンのポイントとは別の写真。Carine06 · CC BY-SA 2.0 · JPEG

場面3:セリーナのブロックは、次に争う機会を残した

2009年ウィンブルドン決勝の最後のポイントでは、ビーナスがサーブを打ち、セリーナが返した。オショネシーは、フォア側で窮屈になったセリーナが、コンパクトなブロックで中央へ返したと説明している。体の近くへ来た球に対して大きなスイングをしなくても、ポイントに残ることができた。

当時のロイター通信は、この4本目のチャンピオンシップポイントが、ビーナスのバックハンドのネットで終わったと記している。セリーナが7–6(3)、6–2で勝った。ボディを狙い、打ちにくい打点を作っただけでは、サーバーの得点は確定しない。ブロックが返れば、ビーナスにはその返球を処理する課題がまだあった。

セリーナの対応が重要なのは、鮮やかな角度や即座のウィナーではなく、ポイントを続けたからだ。サーブで詰まったリターナーは、動作を小さくし、広いエリアを狙える。サーバーはそのブロックへの備えが必要になる。両者に残る選択を見れば、単にボディへ入ったと記録するより、ポイントを詳しく説明できる。

ボディを狙った後の三つの結果
場面サーブ後の展開評価の焦点
ビーナス、2007年決勝の最後のポイントサーブで試合が終わった直ちに得られた得点
フェデラー対ラヨビッチ、2018年詰まったスライスの後、低いボレーが必要だった次のショットの実行
セリーナ、2009年決勝の最後のポイントブロックが返り、最後はサーバーが失点したリターナーの対応とポイントの継続
膝を曲げ、ラケットを体の前に構えるセリーナ・ウィリアムズ
2009年9月5日、全米オープンのセリーナ。同年のウィンブルドン決勝でブロックリターンをした場面とは別の写真。Christian Mesiano · CC BY-SA 2.0 · JPEG

同じ決勝でも、ボディサーブの結果は異なった

2023年ウィンブルドン決勝のファーストサーブの記録を見ると、選んだ数ポイントより広く比較できる。オショネシーの公表集計では、カルロス・アルカラスはボディへのファーストが入った38ポイント中27ポイントを獲得し、ノバク・ジョコビッチは29ポイント中13ポイントだった。約71%と45%になる。同じ試合で同じコース名が付いていても、結果には大きな違いがあった。

2023年ウィンブルドン決勝:ボディへのファーストが入ったポイントの獲得数
サイドアルカラスの獲得数/総数ジョコビッチの獲得数/総数
デュースサイド16/245/11
アドサイド11/148/18
合計27/38、約71%13/29、約45%

分母は、ボディへのファーストサーブが入って始まったポイントである。その場所を狙ってフォルトした試行は含まれない。また、その後のショットやラリーも含む数字であり、リターンの即時ミスだけを測ってはいない。クラブプレーヤーに役立つのは、返球と続く展開がどう変わるかという比較だ。同じコースを選べば同じ71%を得られると期待するための数字ではない。

結果にはリターナーも関わる。アルカラスのサーブを返したのはジョコビッチであり、ジョコビッチのサーブを返したのはアルカラスだ。この比較ではサーバーを替えると、リターナーも替わる。各数字は一人の配球と相手の対応を合わせた結果である。同じ場所へ打っても相手の準備は消えない。ビーナスが詰まらせるコースを選んだ後にも、セリーナにはブロックが残っていた。

最近のダブルスデータも、普段の選択を見直す材料になる

2026年6月、ウィル・ブチェクは2024~26年のATP・WTAダブルスから集めた、ファーストサーブが入った6,905ポイントの分析を公表した。男子の標本では、ボディサーブのポイント獲得率はデュースサイド70%、アドサイド約68%。女子は約52%と55.6%だった。表では男女とも、両サイドでボディがセンターとワイドを下回っていた。個々の成功例と、より広いダブルスの標本は、違う問いを投げかける。

これは収集した試合の観察で、選手、相手、コース選択が同時に変わっている。特定のペアにとってボディサーブが何を生むかを調べる材料にはなるが、その割合を減らせば必ず結果がよくなるとは言えない。ダブルスでは次の球に、相手のネットプレーヤーとサーバーのパートナーも関わる。シングルスでの高い割合を、そのままペアの基準にはできない。

記録上のボディの区域と、実際に相手を詰まらせる打点も同じとは限らない。リターナーの構えた位置や動きによっては、同じ落下位置でも打ちやすい球になる。体との間隔を作る必要があったか、リターンをまだコントロールできたかを確かめたい。コース図に印を付けることと、戦術的な効果が出たことは、評価の異なる段階だ。

練習でも、リターナーの対応を限定しない

ファーストサーブが安定し、コースも変えられるなら、ボディと慣れた別のコースを交互に使ってみよう。リターナーにはブロックや体をずらす対応を認める。すぐに終わったポイント、打ちにくい返球、余裕のある返球を分けるだけでも、クラブの練習では比較になる。毎回次のショットまで続ければ、よいサーブの後で低い球をミスしたのか、最初から返しやすかったのかを区別できる。

ライン際を狙うとファーストが入らない選手や、まだ配球を学んでいる選手は、サービスボックスの左右半分に広い目標を置くところから始められる。相手がボディを待ち、繰り返し余裕を持って体を逃がすなら、ワイドとセンターも使おう。ボディサーブの価値は、その日に相手へどんな追加の準備を求めたかにあり、どれだけ多用したかにはない。狙った圧力が効いたかどうかは、実際のリターンと次の1球で判断したい。

出典と参考資料

  1. Craig O’Shannessy / Brain Game Tennis — Strategy On Match Point At Wimbledon: 2007–2012
  2. Craig O’Shannessy / Brain Game Tennis — 10 Clever Wimbledon Takeaways From Roger Federer
  3. Craig O’Shannessy / Brain Game Tennis — 2023 Wimbledon Final – Alcaraz First Serve Lesson
  4. Will Boucek / The Tennis Tribe — The Worst Serve in Doubles, According to the Numbers
  5. AFP / ABC News — Venus clinches 4th Wimbledon crown
  6. Reuters / ABC News — Serena downs Venus to win third crown
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