ラケットと用具

EZONE 98と100、変わるのはフェイスの2平方インチだけではない

「違いは2平方インチ」と考えれば話は簡単だ。しかし、リターン、フォアハンド、疲れが出る第2セットで選びたいラケットが変わるなら、スペック表をもう少し詳しく見る価値がある。

ネットを背景に、クレーコートの上に置かれたテニスボール
2017年6月撮影のコートの資料写真。この記事は公表スペックを比較し、試打で確認したい点を提案するものです。2機種のEZONEを撮影した写真や、実際に打って比較したレビューではありません。Santeri Viinamäki · CC BY-SA 4.0 · WebP

ラケット選びの問いは、つい単純になる。EZONE 98の精度を取るか、EZONE 100のミスへの強さを取るか。だが、最初の落とし穴はその問いの中にある。この2本を持ち替えることは、フェイス面積だけを変える実験ではない。ヨネックスの米国公式ページでは、バランスポイントもフレーム厚の構成も異なっている。試打で感じる違いは、ラケット全体とセッティングの違いであり、EZONEの後ろにある数字だけの効果とは限らない。

ここで比較するのは、確認した公式ページで基本品番がEZ0898、EZ08100と記載されているモデルだ。EZONE 100のページには第8世代と明記されている。比較の際は、この識別情報も残しておきたい。別世代の中古品、98 Tour、軽量モデル、ロングモデルは、カラーリングやシリーズ名が似ていても別の選択肢になる。

ボールを打つ前から、複数の違いが見えている

2026年10月に確認した米国公式ページのストリングなしの主要スペック。メーカー公表値であり、当方で実物を測定した数値ではありません。
公表項目EZONE 98 · EZ0898EZONE 100 · EZ08100
フェイス面積98平方インチ100平方インチ
全長27インチ27インチ
バランスポイント315mm320mm
フレーム厚(公式の記載順)23.8 / 24.5 / 19.5mm24.5 / 26.5 / 23.0mm
ストリングパターン16 × 1916 × 19
推奨テンション45〜60ポンド45〜60ポンド
記載素材HM Graphite / MINOLON / 2G Namd SPEED / VDMHM Graphite / MINOLON / 2G Namd SPEED / VDM

98平方インチから100平方インチへの面積増加は、2÷98で約2.04%となる。ただし、これは面積の比率だ。球速が2.04%上がる、実用的なスイートスポットが2.04%広がる、ミスヒットが2.04%減るという予測ではない。ほかのスペックも変わっている。面積比だけで比較を終わらせると、この小さな数字に説明を任せすぎることになる。

公表バランスポイントには5mmの差がある。静的なバランスが違うことは分かるが、手元の試打ラケットのスイングウェイトまでは分からない。同様に、並んでいる3つのフレーム厚の数値を、しなりや硬さの指標として扱うこともできない。ある部分が厚いというのは形状の事実であり、パワーや快適性が何%向上したという測定結果ではない。実物を測定していない以上、その影響は試打で確かめる問いとして残しておこう。

どちらも16×19だからといって、打球面全体のストリング間隔が同じとは限らない。材料名が共通でも、それぞれの使用量や配置、全体の構造までは読み取れない。カタログは、何と何を比べているかを特定するのに役立つ。別々に設計された2本を「同じラケットで、面の大きさだけが違うもの」に変えてくれるわけではない。

勝者を決める前に、解決したい問題を決める

よい試打は、今の自分のテニスで変えたい部分から始まる。例えば、芯で捉えたフォアハンドには満足しているが、伸ばして届かせたリターンだけが浅くなる。コンパクトなバックハンドは安定しているのに、第2セットでは準備が遅れる。あるいは深さは簡単に出せるが、加速すると弾道がばらつく。これらは別々の購入理由だ。「どちらがよいか」だけでは、その違いが見えなくなる。

そこで参考になるのが、Tennis Warehouse University(TWU)のパワーポテンシャルの解説だ。ラケットとボールが衝突するときの相対速度に対し、どれだけの速度がボールに戻るかを、ストリング面の各位置で測る考え方を説明している。分布図では中央、周辺、先端、スロート寄りを区別している。ここで押さえたいのは、反発の特性は打点によって変わるということだ。2本の差は、ある位置では大きく、別の位置では小さいかもしれない。なお、この資料は一般的な測定の解説であり、第8世代EZONEの比較試験ではない。

TWUは、パワーポテンシャルが最大の位置と、実際の打球速度が最も高くなる位置も分けている。スイングの動きが関わり、そもそもラケットをボールまで運ぶ必要があるからだ。反発に有利な特性が一つあっても、試合全体でどちらが自分によい打球をもたらすかは、それだけでは決まらない。「パワーがある」は、条件をそろえた特定の比較には役立つ表現でも、購入判断への答えとしては不十分なことがある。

自分の試打では、普段どおり中央で捉えた球、捉えにくい位置での接触、短い準備で返す守備の球を分けて見てみよう。無理にフレームへ当てて、過酷な試験を作る必要はない。実際のポイント中に起きる打点を見ればよい。どの球で深さを失うのか。どの球で方向が予想外に変わるのか。苦しい接触でも、次の1球を争える返球になるのはどれか。繰り返し起きる問題を改善するラケットは、打ち合いやすいラリー中に1本出た豪快なフォアハンドより、有力な判断材料になる。

ストリングマシンに固定したテニスラケットにストリングを張っている様子
2025年1月撮影のストリンギングの資料写真。写っているラケットはEZONE 98でも100でもありません。ストリング面を準備する場面の参考写真であり、比較試験や推奨作業手順を示すものではありません。Valenzuela400 · CC BY-SA 4.0 · WebP

ストリングの違いが、ラケット比較に紛れ込む

店の試打ラケットの一方に使い込んだポリエステル、もう一方に張りたてのマルチフィラメントが入っていたら、フレームだけの比較にはならない。同じストリングを同じ指定テンションで張ってあっても、その後の使用歴は違うかもしれない。打ち出し角が高い、反応が鈍い、深さが出しやすいといった感触を98や100の性格と決める前に、ストリングの銘柄、ゲージ、確認できる張り替え情報、摩耗の様子を書き留めたい。不明な点は不確かさとして結論に残し、根拠のない確信で埋めないことだ。

共通の45〜60ポンドという範囲は、メーカーの推奨テンションである。その範囲ならどの数値も自分に同じように合う、という意味ではない。同じ指定テンションで2本のストリング面が同一の反応になる証拠でもない。条件を近づけるなら、銘柄、ゲージ、張り上げ時の指定テンションをそろえ、張ってからの経過時間や打球量もできるだけ近くする。目的は管理できていない差を減らすことであって、完成した2本のラケットが力学的に同じになったと考えることではない。

グリップサイズと、普段付けて使うものも比較条件に含めよう。オーバーグリップ、振動止め、追加した重りは、評価対象となる完成状態を変え得る。ショップで使用状態の重量、バランス、スイングウェイトを測れるなら、試打メモと一緒に数値を残しておきたい。カスタマイズした試打ラケットの実測値を、ストリングなしのカタログ値で代用しない。また、スペックをそろえていない2本の個体差を、すべての製品に当てはめないようにしたい。

98を選ぶ理由と、その判断を変える条件は何か

98を選ぶ有用な理由は、説明できる結果だ。例えば、普段のラリーの球を加速したときに弾道を再現しやすく、それ以上に重視するリターンでは大きな不利益がない。一方、100を選ぶ理由なら、繰り返し起きる不完全な当たりで深さを失いにくく、通常の攻撃球ではコースを狙いにくくならない、といったものが考えられる。これはプレーヤーが観察し得る状況の例であり、この記事で測定した結果でも、各モデルの性能を約束するものでもない。

本当に知りたい難しい場面を、2本とも同じように経験させたい。一方は気楽なウォームアップだけ、もう一方は強力なリターンを打つ相手との対戦だけで使ったなら、感想が正直でも比較は公平ではない。似た条件で交互に使い、協力的なラリーだけでなくポイントも入れてみる。普段の準備動作の癖が表れるくらいプレーしたところで、選択を見直すとよい。何分打てば統制された実験になる、という共通の時間基準はない。

100平方インチを選ぶことに引け目を感じる必要はなく、98を買って上級者であることを示す必要もない。確認した公式ページでは、ヨネックスは両方を中級〜上級者向けとしている。これはメーカーの位置付けであり、技術の資格試験ではない。経験のあるプレーヤーが探すべきなのは、自分の実際のテニスを支える反応の組み合わせだ。プレッシャーの下で返さなければならない、見栄えのしない球もそこに含まれる。

試打後は、決まり文句ではなく、何を得て何を受け入れたかを書いてみよう。「準備の短いリターンではこちらがよく、フルスイングで感じたこの差は受け入れられる」のほうが、「100はパワー、98はコントロール」より役立つ。買う理由と、考え直す条件を同時に示せるからだ。まだ決められないなら、面の数字から無理に確信を作るより、ストリング条件をさらに近づけ、気になる場面をもう一度試したほうが情報は増える。

2平方インチの差は確かにある。公表バランスとフレーム厚にも差があり、完成したセッティングにも影響がある。まず公式のモデル情報をそろえ、それぞれの試打ラケットに、自分のテニスの具体的な問題を一つ問いかけよう。この2本のEZONEから選ぶなら、数字同士の勝負ではなく、コートで繰り返し起きる状況を通じて理由を説明できる選択にしたい。

出典と参考資料

  1. Yonex USA — EZONE 98: official product specifications
  2. Yonex USA — EZONE 100: official product specifications
  3. Tennis Warehouse University — Power Potential: Total Performance Measurement

TENNIS TENSION LAB

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