シェ・スーウェイの復帰を支えた、四人のパートナーとの経験
ワン・シンユーとは組んで二大会目で優勝。ストリコバとは、かつて頂点に立ったコートへ戻った。メルテンスの早い誘いも、ジェリンスキの直前の連絡も、同じ復帰の一部だった。

2023年ウィンブルドン女子ダブルス決勝の朝、バルボラ・ストリコバは何度も涙を流した。現役として迎える最後のウィンブルドンだった。試合後のWTAの取材では、コートに入ると集中できたと話している。隣には2019年に一緒に優勝したシェ・スーウェイがいた。ストリコバが助けになったと語ったのは、二人ですでにこの決勝を経験していたことだった。
その数週間前、パリでシェの隣にいたのはワン・シンユーだった。組んで二大会目で全仏を制した新しいペアだ。ロンドンでは馴染みの相手と頂点へ戻り、パリでは新しい相手と頂点に立った。慣れたペアと新鮮な組み合わせのどちらがよいかを決める前に、それぞれが何を持ち寄ったのかを見ておきたい。
この時期を振り返る意味は、ひとまとめにされやすい「経験」を分けられる点にある。個人の実績と二人で戦った時間は同じではない。2023年全仏から2024年1月の全豪まで、シェは四人のパートナーと女子ダブルス三つ、混合ダブルス一つのメジャータイトルを獲得した。共通する選手は一人でも、隣の選手が加えたものは毎回違っていた。
優勝を分かち合う前に、出場する相手が必要だった
シェは2022年シーズンをすべて休み、2023年4月にツアーへ戻った。ストリコバの最後のシーズンを一緒に過ごすことも復帰の一部だった。ただ、ウィンブルドンに出る馴染みの相手がいることと、それ以外の大会のペアまで決まっていることは別だ。新しい結果を積み上げる前に、出場できる組み合わせを作る必要があった。
2024年全豪で優勝した後、WTAに語った出発点は、タイトルの一覧から想像するほど順調ではなかった。復帰直後にほかの選手へ送った誘いは断られ、全仏とウィンブルドンを勝ってから状況がよくなったという。過去のメジャー優勝が、次の大会のパートナーまで用意してくれたわけではない。
勝利だけを並べると、結果がまだ見えていなかった時間が消えてしまう。新しい優勝がない段階で、誰かが一緒にやろうと決めなければならなかった。その後、別の誘いが届く頃には、シェにはすでに約束ができていた。復帰はプレーを取り戻すだけでなく、関係と出場予定を組み直す過程でもあった。
ワンは教わるだけのパートナーではなかった
ワンは全仏の公式取材で、二人がおよそ二分話してペアを組むと決めたと説明した。2023年6月11日、組んで二大会目でテイラー・タウンゼントとレイラ・フェルナンデスを1–6、7–6(5)、6–1で破った。ワンにとってはメジャー女子ダブルス三度目の出場での初優勝。共同の歴史は短くても、持ち寄るテニスまで白紙ではなかった。
第1セットは、簡単に勝ち抜けそうな展開ではなかった。大会記事は二人が相手のパワーと速さに適応し、第2セットのタイブレークではワンの積極的なリターンとストロークが力になったと伝えている。シェも攻撃的に打つよう促していた。若いパートナーの仕事は、ベテランの横でミスを減らすことだけではなかった。
シェが試合後に感謝したのは、ワンのエネルギーと支えだった。経験は年長者から年少者への一方通行ではない。一人が長く積んだ判断を渡し、もう一人がその日に必要な走りと攻撃を返す。「先輩が後輩を導いた」だけでは、先輩自身が受け取ったと話した部分を落としてしまう。
二分で決まったのは結成であり、二人がコートへ運んだテニスには長い時間がかかっていた。シェは大きなダブルスの舞台を知り、ワンはその日の積極的なリターンを得点につなげた。共同の記憶が短い新チームにも、すぐ使える資源はある。素早い合意そのものより、その資源がどう結び付いたかが残る。

ストリコバとは、すでに知っている決勝があった
ウィンブルドンには別の連続性があった。シェとストリコバは2019年に一緒に優勝し、長い離脱を経て二人とも2023年4月に復帰した。ストリコバは2021年に母となり、最後の一シーズンを戦う計画だった。決勝は新たなタイトルを狙う機会であると同時に、オールイングランド・クラブでの現役最後の試合でもあった。
前年にもう一度ウィンブルドンの雰囲気を味わいたいと誘ったのはストリコバだった。優勝後には、2019年を一緒に経験したことで感覚も対処の仕方も知っていたと話した。ワンとのペアが個々の経験を新しいチームへ運び込んだのに対し、こちらは二人で通った重圧の場へ戻れた。朝の涙からコートでの集中へという言葉にも、その馴染みが見える。
7月16日、ストーム・ハンターとエリーズ・メルテンスを7–5、6–4で下した道のりは平坦ではなかった。第1セットの5–4で三つのセットポイントを逃し、最終的にセット全体で六つ目を取った。第2セットも4–1から4–4に追いつかれた。相手をよく知っていることは、試合の揺れがなくなることではない。
終わり方には二人とも登場する。WTAの試合記事によると、5–4でストリコバのスマッシュが二つのチャンピオンシップポイントを作り、二度目にシェのウイナーで決着した。最後の一球だけならシェの場面になる。そこへ至る球も残せば、ストリコバの仕事が見える。共同経験という言葉は、一つのポイントにある別々の実行に戻すと具体的になる。
優勝してもストリコバは引退の決断を変えなかった。翌日のWTAの取材でも、息子との生活を含めて選んだ道を維持した。よいペアが、必ずしも長く続くペアとは限らない。二人の再出発には、もう一度戦う喜びと、決めた終わりをよい試合で迎えたい気持ちが同居していた。
四つの優勝の間には、ニューヨークの敗戦もある
2023年全米では再びワンと組んだ。9月8日の準決勝で、ガブリエラ・ダブロウスキーとエリン・ルートリフに1–6、6–7(4)で敗れた。ここで止まった16連勝は、シェ個人のその年のメジャー女子ダブルスの記録だ。ワンとの全仏、ストリコバとのウィンブルドンを含む。同じペアの連勝として書くと、復帰を特徴づけた組み替えが消えてしまう。
チャンスがなかった敗戦でもない。WTAによれば、シェとワンは20本のブレークポイントから5回を取り、相手は9本から7回を取った。ダブロウスキーとルートリフは、二度のサービング・フォー・ザ・マッチをいずれもラブゲームで落とした後にタイブレークを制した。機会を作ることと、その機会でゲームを終えることの間には差が残る。
ニューヨークは、機会を作ることと試合を終えることを分けて見せる。シェとワンは何度も相手のサービスを脅かし、ダブロウスキーとルートリフは二度の締める機会を逃した後、タイブレークで決着をつけた。タイトルの間にこの試合を置くと、復帰の道にも起伏が戻る。一度成功したペアも、次の相手に改めて向き合う必要があった。
| 大会・日付 | パートナー | 結果 | 二人の経験 |
|---|---|---|---|
| 全仏 2023-06-11 | ワン・シンユー | 優勝 1–6、7–6(5)、6–1 | 組んで二大会目 |
| ウィンブルドン 2023-07-16 | ストリコバ | 優勝 7–5、6–4 | 2019年にも一緒に優勝 |
| 全米 2023-09-08 | ワン・シンユー | 準決勝敗退 1–6、6–7(4) | シェ個人のメジャー16連勝が終了 |
| 全豪混合 2024-01-26 | ジェリンスキ | 優勝 6–7(5)、6–4、[11–9] | 直前の連絡で結成 |
| 全豪女子 2024-01-28 | メルテンス | 優勝 6–1、7–5 | 2021年ウィンブルドン優勝後の再結成 |
メルテンスとの再結成には、よい試みが外れる余地もあった
2024年にまた組もうと早くから声を掛けたのはメルテンスだった。シェとはすでに2021年ウィンブルドンを制している。ほかの誘いが来た頃には、もうメルテンスに返事をしていたとシェは話した。パートナーを探していた選手が、今度は先にした約束を守る立場になっていた。再結成の土台には成績だけでなく、互いを知る時間もあった。
全豪優勝後、メルテンスは二人が望むゲームについて率直に話し、正しいことをしようとしているならミスしても構わないと説明した。仲がよいという言葉より、試合で使える基準だ。一球が外れたからといって、選んだ意図まで全部否定する必要はない。実行を話し合いながら、次の妥当な攻撃に向かう余地を残せる。
シェも、パートナーによってやり方や戦略を変えると話している。ここでの馴染みは、すべての球が予想通りになることではない。意外な選択を受け入れながら、二人が目指すゲームの方向を共有できる。個々のショットの自由と、チームとしての合意は両立していた。
2024年1月28日、リュドミラ・キチェノクとエレナ・オスタペンコとの全豪女子ダブルス決勝では、違う役割が試合の中にも表れた。第1セットを6–1で取った後、第2セットは0–2から5–3へ進み、再び5–5になった。WTAは巻き返しを伝える中で、メルテンスのロブとシェのボレーを並べて挙げている。
メルテンスは5–3のサービスゲームで終えられなかったが、それが最終判断にはならなかった。5–5の後にシェがキープし、次のキチェノクのゲームをラブゲームでブレークして7–5。シェにとって初のハードコートでのメジャー女子ダブルス優勝だった。先ほど終えられなかった人を探すより、その後の二ゲームを見る方が決着の理由に近づける。
全豪公式の優勝動画は、この女子ダブルス決勝を見直す入口になる。最後に決めた球と、その前に相手の打点を変えた球を分けて追ってみたい。インタビューで語られた関係が、「誰の仕事が次の人のショットを可能にしたか」という観戦の問いになる。

ジェリンスキとは、一通の連絡から共同経験が始まった
同じメルボルンでも、混合ダブルスの始まりは違った。ヤン・ジェリンスキは大会の取材で、直前まで誰と出るか分からなかったと話している。パートナーを探す選手のリストにシェの名前を見つけ、連絡した。期待したのは彼女個人のダブルス経験であり、二人ですでに共有していた決勝ではなかった。
それまでジェリンスキはメジャー混合ダブルスで勝ったことがなかった。シェも過去24回の出場で準決勝を越えていなかった。女子ダブルスでの優勝を、そのまま新チームの混合ダブルスの実績に入れることはできない。決勝相手のデシラエ・クラウチェクとニール・スクプスキには、すでに二度のウィンブルドン混合ダブルス優勝があった。
1月26日、シェとジェリンスキはタイブレークで第1セットを失い、第2セットは2–4から6–4へ戻した。最後のマッチタイブレークでは7–4のリードから一転してチャンピオンシップポイントを握られ、それをしのいで11–9で勝った。ジェリンスキは、以前のポーランド選手が決勝で逃した機会の話が頭に入ってきたと明かした。新しいペアの共同経験は、その重圧の中で作られた。
二人とも初のメジャー混合ダブルス優勝だった。シェが持ち込んだ豊富な個人経験に、ジェリンスキと決勝を通り抜けた新しい記憶が加わった。ストリコバと戻ったウィンブルドンと並べると違いが分かる。メルボルンでは共同の歴史が短いペアが、締めくくりを探しながらその歴史を作った。

同じ選手が残っても、同じ方法だけが残ったのではない
ワンは新しいペアに攻撃の実行とエネルギーを加えた。ストリコバとは一緒に思い出せる決勝があった。メルテンスとの再結成では望むゲームを話し、妥当な試みのミスを受け入れた。ジェリンスキとは直前の問い合わせが初の共同優勝になった。四人を入れ替え可能な脇役にすると、シェ自身が語った戦略の変化まで消えてしまう。
四つのチームでは、経験が二層に積まれている。コートや大舞台への馴染みは個人が運び込み、隣の選手の選択への理解は一緒にプレーして育つ。新しいチームは前者を使い、長いペアは後者を呼び戻せる。シェの復帰は、その配分を変えながら次の組み合わせを作る時間でもあった。
次にシェのダブルスを見るときは、最後の得点の一球前に目を向けたい。誰が相手を動かして次のショットの場所を作り、リードが消えた後に誰が次のゲームをつなぎ直すのか。そのやり取りにパートナーシップが見える。四人との時間は、鮮やかな個人のショットの先に、二人で作った試合を残した。
出典と参考資料
- WTA — Hsieh and Strycova win Wimbledon doubles title for second time
- WTA — Champions Corner: Strycova's unforgettable Wimbledon curtain call
- WTA — Unexpected partners, unstoppable team: What Hsieh and Mertens' title means
- WTA — Hsieh and Mertens win the 2024 Australian Open women’s doubles title
- Australian Open — Hsieh and Zielinski win the 2024 Australian Open mixed doubles title
- Roland-Garros — Hsieh and Wang win Roland-Garros 2023
- WTA — Hsieh’s 2023 major winning streak ends in the US Open semifinals
TENNIS TENSION LAB
今日、ラケットのテンションを確認しよう。
10秒以内にストリングのテンションを高精度で測定。Tension Labが初回測定からの変化を記録し、張り替え時をわかりやすく示します。
- ストリングのテンションを高精度で測定。 10秒以内に完了。
- 打球感の変化を クリアな記録に。
- 張り替えどき、 もう感覚だけに頼らない。
