ストリングとテンション

Hyper-G Softに替えるか、Hyper-Gのテンションを下げるか。ロールを買う前に比べたいこと

一方は配合を変え、もう一方は張るときのテンションを変える選択。新品のSoftと使い込んだHyper-Gを比べるより、3通りの張り替えで条件を分けたほうが、違いをつかみやすくなります。

ストリングマシンに固定されたテニスラケットと、ストリングを扱う作業者
2025年1月に撮影されたストリンギングの作業風景。説明用の資料写真であり、写っているストリングがHyper-GまたはHyper-G Softであるとは確認されていません。Valenzuela400 · CC BY-SA 4.0 · WebP

しっかり振り切れるときのHyper-Gは気に入っている。変えたいのは、差し込まれたときや、芯を外したときの硬い感触だけ。そんなとき、買い替え候補として浮かぶのはHyper-G Softでしょう。一方、ストリンガーからは「いつものHyper-Gで、少しテンションを下げてみては」と提案されるかもしれません。どちらも検討する価値はありますが、確かめられることは違います。次のロールを買う前に、何を知りたいのかを整理しておきましょう。

今のHyper-Gで狙った弾道と打球感が得られているなら、テンションを調整するほうが、現在の張り上がりが好みより硬すぎるのかを直接確かめられます。Softの配合そのものを原版と比べたいなら、まずはほかの主な条件をそろえるべきです。製品、ゲージ、テンションを一度に変えても、気に入る組み合わせに出会うことはあります。ただし、何が効いたのかは分かりません。次に張り替えたときに同じ感触にならなければ、そこで困ることになります。

公式の商品説明から分かること、分からないこと

SolincoはHyper-Gを、コントロール、パワー、スピンを意図した異形コポリエステルストリングとして紹介しています。Hyper-G Softについては、軟化させる配合を用いた、より柔らかなコポリエステルと説明し、テンション維持性能の向上も掲げています。製品の位置づけを知るには役立つ情報です。ただし、あなたのラケットでどれほど柔らかく感じるかを独立した測定で示したものではありません。特定のプレーヤーが好む反応をSoftのほうが長く保つ、という証明でもありません。

この記事で確認した公式掲載では、両製品に1.30、1.25、1.20、1.15 mmがあります。Hyper-Gにはほかのゲージもありますが、この共通する4種類なら、比較の出発点を分かりやすくそろえられます。張り替え記録には、ミリ単位の太さを残してください。1.25 mmのHyper-Gから1.20 mmのHyper-G Softに替え、さらにテンションも下げると、変更点は3つです。パッケージがよく似ていても、ショップで「同じシリーズ」と呼ばれていても、その事実は変わりません。

Softもコポリエステルであることに変わりはありません。名前にSoftと付いても、ナチュラルガットやマルチフィラメントになるわけではなく、医学的な効果を約束するものでもありません。メーカーの説明は、別の配合を試す理由として受け止め、差の大きさは自分のセッティングで見ていくのが実用的です。今回の資料には「SoftをXポンドで張れば、原版Hyper-GのYポンドと同じ」という換算を裏づける根拠はありません。分かりやすい換算表を作るには、まだ得られていない証拠が必要です。

マシンの数値を下げると、張るときの出発条件が変わる

設定テンションとは、張り作業で指定する張力です。一方、動的剛性は、短時間の衝撃を受けた際の変形しにくさを表します。Tennis Warehouse University(TWU)は、これをストリングをゆっくり引っ張るときの伸び方と区別しています。ゆっくり荷重をかけると伸びやすいストリングでも、打球時に同じように振る舞うとは限りません。TWUの剛性についての解説で説明されているのは、1本のストリングを52ポンドで張った試験です。そこで得られる数値は、あなたのラケットのストリング面全体を直接測った値ではありません。

ヘッドの形状、ストリングの長さと配列、張られた素材、張り上げてからの時間も、実際にボールを打つストリング面に関わります。いつものストリングで設定テンションを下げる場合は、製品を保ったまま、出発条件の1つを変えます。Softへの変更では、指定テンションをそろえていても、製品自体が変わります。どちらの方法でも、好みの反応に近づく可能性はあります。ただし、打ち始めの印象が似ていたからといって、その後も同じものとして使えるとまでは言えません。

テンションアームとラケット支持部が見えるDISCHO-Veritas ORの分銅式ストリングマシン
2013年撮影の分銅式ストリングマシン。設定テンションを与える道具の説明用写真です。Hyper-Gの比較試験、推奨するマシン設定、この記事のために行った試験の写真ではありません。LordOider · CC0 · WebP

3通りをすべて新品で張り、2つの比較を分ける

以下は比較方法の一例であり、私たちが実施した試験ではありません。52ポンドと50ポンドは、変更点を見やすくするための数字です。あなたのラケットへの推奨値ではありません。フレームや張り方に合う範囲をストリンガーと相談して決めてください。いつもメインとクロスで異なるテンションを指定しているなら、両方を記録します。その違いを1つの数値にまとめてしまうと、比較条件が正しく伝わりません。

同じ公称1.25 mmのゲージと、同じラケットモデルを使う例。3通りとも新品を張ります。テンションの数値は比較の考え方を示すもので、実測結果や万人向けの設定を提示するものではありません。
張り方ストリングと設定テンション切り分けて確かめること
A:基準Hyper-G 1.25 mm、52ポンド使い慣れたセッティングを新品で張ると、今どのように感じるか
B:テンションを変更Hyper-G 1.25 mm、50ポンド設定テンションを下げると何が変わるか
C:製品を変更Hyper-G Soft 1.25 mm、52ポンド同じ指定テンションで製品だけを替えると何が変わるか

AとBで比べるのはテンションです。AとCで比べるのは製品です。BとCの比較でも好きなセッティングは選べますが、2つの要素が変わるため、原因を1つに絞れません。ところが、プレーヤーが最初に行いやすいのは、この最後の比較です。その結果が、そのままストリング同士の優劣として語られることもあります。最初に条件を整理しておけば、気に入った張り上がりを次回も再現しやすくなります。

できれば同じストリンガーに依頼し、プレストレッチの有無も含め、工程をそろえます。同じモデルのラケットを2本持っていても、張り上がりのスペックまで完全に同じとは考えないでください。重量やバランスの違いが分かっていれば、その差も記録に入れます。1本しかなくても、順に張り替えて選ぶことはできます。ただし、記憶、天候、ボール、その週の自分のプレーも比較に入り込みます。結果は実用的な好みの判断として扱い、実験室での順位づけとは切り分けましょう。

不満を感じたショットこそ、比較に入れる

気持ちよくクロスのフォアハンドを何球か打てば、どちらもラリーに使えることは確認できるでしょう。しかし、それだけでは最初の不満に答えにくいはずです。変更したくなった場面を再現し、手に残る感覚だけでなく、ボールの行方も見てください。以下は練習で取り入れられる観察例であり、いずれかのHyper-G製品について測定した結果ではありません。

  • 勢いのあるファーストサーブをブロックし、スイングを大きくしなくても有効な深さを保てるかを見る。
  • 動きながら守備のボールを打ち、打球音だけで評価せず、高さと着地点を記録する。
  • 短いボールを普段のスイングで攻め、狙ったネット上の高さを繰り返し通しやすいかを見る。
  • 練習の後半、新品を打つ高揚感が落ち着いたころに、通常のラリーで狙う同じターゲットへ戻る。

記録は、次にストリンガーと相談するときに使える形で残します。「楽に打てた」も大切な感想ですが、「ブロックリターンは力まず狙った深さに届き、短いボールを攻めたフォアハンドもベースライン内に収まった」なら、どんなバランスを気に入ったのかが伝わります。深く飛ぶようになった反面、弾道をそろえにくくなったなら、その点も記録しましょう。比較中に無意識にスイングを小さくしていたのに、すべてをストリングの違いで説明してはいけません。

使い込んだHyper-Gを「低テンションの比較用」にしない

ここを混同すると、比較全体が崩れかねません。使用済みのストリング面は、単に低いテンションで張られた新品と同じではありません。TWUのCrawford Lindseyは、ストリングの性能が失われる過程を扱った2013年の研究で、繰り返しの衝撃と、剛性やメイン・クロス間の摩擦の変化を調べました。実験結果は、張力に関わる変化と、横方向への動きの変化が組み合わさることを示しています。Hyper-GとHyper-G Softを比較した研究ではなく、摩耗を加速させる実験手順から、自分のストリングを何時間で替えるべきかを読み取れるわけでもありません。

この研究から分かるのは、テンションの数値だけでは、2つのストリング面が同等だと保証できないということです。時間の経過と打球の衝撃は、たわみ方だけでなく、ストリング同士の滑り方も変えます。そのため、新しく張ったSoftと古いHyper-Gを比べると、製品の違いに、経過時間と使用履歴の違いが重なります。今日はこちらの新品が好ましい、とは判断できるかもしれません。しかし、新しいHyper-Gを低めの設定テンションで張ったらどうだったか、という問いには答えられません。

選んだセッティングも、その後何度かプレーしてから振り返り、できるだけ使用段階が近い条件で比較を続けましょう。探しているのは、最初の10分だけ気持ちよい反応ではなく、頼りにできる反応です。SolincoがSoftについて掲げるテンション維持性能も、記録の中で確かめたい点ではありますが、メーカーの説明が記録の代わりになるわけではありません。張ったばかりの1本と、すでに数試合を終えたもう1本だけで勝者を決めるのは避けたいところです。

原版Hyper-Gが狙ったボールを打たせてくれていて、テンションを下げてもその良さが残り、気になっていた反応が改善するなら、使い続ける理由があります。条件を整理した比較でSoftのほうがよいバランスを示すなら、替える理由があります。どちらもしっくりこなければ、同じシリーズの中で細かく調整し続けるより、ストリングの種類を広げて考える段階かもしれません。買う価値があるのは、選んだ理由を説明でき、再現できるセッティングです。「Soft」という言葉だけではありません。

出典と参考資料

  1. Solinco — Hyper-G
  2. Solinco — Hyper-G Soft
  3. Tennis Warehouse University — String Stiffness: The Alpha and Omega of String Performance
  4. Tennis Warehouse University — How Tennis Strings Go Dead — Part 1

TENNIS TENSION LAB

今日、ラケットのテンションを確認しよう。

10秒以内にストリングのテンションを高精度で測定。Tension Labが初回測定からの変化を記録し、張り替え時をわかりやすく示します。

  • ストリングのテンションを高精度で測定。 10秒以内に完了。
  • 打球感の変化を クリアな記録に。
  • 張り替えどき、 もう感覚だけに頼らない。
測定値は初期テンションからの変化を推定するもので、ストリングマシンによる絶対測定の代わりにはなりません。